
何度観ても引き込まれてしまう不思議な世界観がある映画「千と千尋の神隠し」
しかし、おもしろいだけではなく、何度観ても謎が残るキャラクターである「カオナシ」は一体何者なのか気になりますよね。
この記事ではそんな疑問を解決するために、千と千尋の神隠しのカオナシの正体は何者なのかを調査・考察しています。
千と千尋の神隠しに出てくるカオナシとは?

では、まずカオナシの正体が何者かについて知るために、千と千尋の神隠しに出てくるカオナシはどうだったのかおさらいしていきます。
カオナシは上の画像を観てわかるように、黒く透き通っていてお面をつけているという不気味な雰囲気満点なキャラクターです。
カオナシの特徴としては
- コミュニケーションが取れない
- 手から砂金を出す
- わがままっ子が大人になった
というような特徴があります。
では、一つづつカオナシについて詳しく紹介していきますね。
コミュニケーションが取れない
「あ…あ…」と「え…え…」などの言葉しか話せず、お面なので表情もわからず他の人とのコミュニケーションが取れません。
最初にカオナシが登場したシーンでは、たくさんの神様たちが湯屋に向かって生き生きと歩いているのに、カオナシだけはどうしていいのか分からずただ橋の上に立っているだけでした。
こんなカオナシの目に止まったのが千尋です。
千尋との関係を持とうとしたカオナシは、千尋が必要としていた薬湯の札をたくさん盗んで千尋に渡しますが、「こんなにいらない。一個でいいの。」と言われ、ショックでそのまま姿を消します。
カオナシは物で人の気持ちが動くと思っているコミュ障な生き物であると言えます。
手から砂金を出す
カオナシは不思議な力を持っていて手から砂金を出すし、映画の中で千尋に「千は何が欲しいんだ」聞いていることから何でも作り出せる生き物となります。
しかし、作り出したものはただの土の塊なんです。
何でも作り出せる力を持っていますが、全部偽物という悲しいコピー能力を持った生き物になります。
わがままっ子が大人になった
カオナシは映画の中で「千尋が欲しい」と言っていますよね。
仲良くなりたいという感覚がないためかただ「欲しい」という感情しかなくて、千尋を手に入れるために番台の札を盗んだり、手から砂金を出したりしていました。
カオナシなりにがんばりましたが、すべて千尋に拒絶されてしまい千尋は手に入りませんでした。
その腹いせに、砂金を餌に従業員を飲み込んでしまったり、食べ物のたくさん食べたり、大暴走をして湯屋をめちゃくちゃにしたりとやりたい放題です。
欲しいものが手に入らないから暴れる、わがままっ子がそのまま大人になったような生き物ですよね。
以上の3つがカオナシの大きな特徴となっています。
カオナシのラスト、その後について

続いて、カオナシのラストシーンがどうだったのかについて紹介していきます。
千ハクが盗んだハンコを返すために湯婆婆の姉・銭婆の元へ千尋は向かうのですが、この時にカオナシも一緒についていきます。
銭婆にハンコを返した千尋ですが、豚になった両親を助けるため、湯婆婆の呪いで傷ついたハクを助けるため湯屋へ帰ることに決めます。
そこへ、ちょうどハクが千尋を迎えにきて、湯屋へ帰る途中にハクは自分の名前を取り戻し、湯婆婆に縛られていた生活から脱出することを決めます。
そして、豚になってしまった両親も無事に人間に戻るのですが、豚になっていた記憶はなく千尋と一緒にもと来た道を何事もなかったように帰る。
というのが「千と千尋の神隠し」のラストシーンになります。
一方、カオナシのラストシーンはというと、ここまでストーカーのように千尋につきまとっていましたが、千尋と湯屋へは一緒に帰りませんでした。

「お前はここにいな、私の手助けをしておくれ。」と銭婆に言われ、銭婆と一緒に暮らす。
これがカオナシのラストシーンになります。
さて、カオナシは無事に銭婆と一緒に暮らすことになったのですが、結局カオナシはどうなったのか謎が多いキャラクターだけにたくさんの人が気になっているようです。
ここからカオナシはどうなったのかについて考察していきます。
カオナシのその後

カオナシのラストシーンについての情報はたくさんありましたが、その後どうなったかについての情報はありませんでした。
となりのトトロなんかは続編が出ていたり、宮崎駿監督がサツキとメイは大きく成長して結婚しているなんてコメントがあったりするんですけどね。
カオナシの情報が無かったのでここからは私の考察になりますが、カオナシは湯屋にいた時のようなわがままっ子ではなくなり銭婆の元で静かに暮らしているのではないかと考えています。
まず、カオナシは最初に橋の上にいた時から、他の人には見えないのか存在すら無いように無視をされていましたよね。
カオナシは自分の居場所が欲しかっただけではないでしょうか。
カオナシは銭婆の家に千尋と一緒に行った時に、銭婆に自分の分のお茶とケーキを出してもらい、編み物のやり方を教えてもらい褒めてもらったりしています。
この時、カオナシは自分が銭婆に認められ自分の居場所を見つけられたため、銭婆と一緒に暮らすことにしたのではないでしょうか。
カオナシの正体の考察まとめ

ここまで、カオナシの特徴やラストシーンについて見てきましたが、なんとも謎の多いキャラクターですよね。

結局、カオナシの正体って何者なの?
誰もが持つこの疑問に、謎が多いだけに様々な憶測がとびかっています。
ここからは、カオナシの正体についてどんな説が流れているのか紹介していき考察していきたいと思います。
カオナシは悪魔説
カオナシと千尋が電車に乗って銭婆のところへ向かう途中、窓の外にネオンが流れていくシーンがあるのですがそこに「サタン」という文字が出てきます。
この時に電車に乗っていたのは千尋とカオナシだけで、「サタン=悪魔」でカオナシのことを指しているのではないかという説になります。
こちらの画像を見るとたしかに「サタン」という文字があります。

ところで悪魔ってなんなのか知らないと、カオナシは悪魔だって言われてもよく理解はできません。
キリスト教では、悪魔は悪霊のボス的な存在であり、驚異的な力を持っていて相当な知恵を持っている存在であると言われています。
この中でも注目したいのが「知恵」の部分で、相当頭が良く人間の中に紛れていてどこにでもいる存在なんだとか。
さらに、頭のいい悪魔は人間社会に紛れるのがうまく
実は、サタンは人間に最も喜ばれやすい形をとって、社会や個人生活の全般に根をおろしているのです。
ー中略ー
サタン的なものは、一見したかぎり非常に良く見えるので、ほとんどの人々はそれがサタンのものであるとは気づかずに歓迎し、享受しているのです。
引用元:キリスト栄光協会
このような特徴があるようです。
この悪魔の特徴を見ると、カオナシが湯屋の従業員に砂金を出してた時には、確かにみんなに喜ばれて歓迎されていたのでカオナシの特徴である偽物のコピー能力によく似ていますよね。
ただ、カオナシはコミュニケーションが取れないので、悪魔のように社会に溶け込んでいる感じがぜんぜんありません。
溶け込んでいるというより完全に異質な存在なので、カオナシは悪魔に似ている部分もありますが悪魔とは違った存在なんじゃないかと思います。

じゃあ「サタン」の文字は一体なんだったんだろう?
実際にコマ送りで観てみると問題のシーンで文字を発見しました!
確かに「サタン」とも読めますが、映像をじっくり見てみると「タ」の文字のナナメ線が2本あり、「タ」ではなく「グ」の濁点が下にきたようにも見えるんです。
そうなると「サグン」という文字になるので意味を調べてみると、どうやらヒンドゥー語で「お土産」という意味のようです。

でも、ヒンドゥー語をここで入れるかな…これは考え過ぎじゃない?
確かに、考え過ぎかもしれないですね。
しかし、問題のシーンでは「サタン」以外にも、「天然の上に温泉マーク」「変酒」「シアター」「蟲々」「博」「魚マーク」など統一性のない文字がたくさん流れているんです。
宮崎駿監督は食べ物街の様子について「色んな建築様式が混ざり合っている日本を表現した」と海外のインタビューで答えています。
ということは、このネオンの文字も混在した日本の建築を表現した延長ものだと考えれれるのではないでしょうか。
カオナシのモデルは現代の若者説

カオナシは、コミュニケーションが取れなかったり、従業員を飲み込んでしまうなど大暴れをしていたことから、現代の若者がモデルになっているという説があります。
カオナシの正体とはちょっと違いますが、カオナシの全体像を掴むために紹介させていただきますね。
この現代の若者説に関して、日テレの金曜ロードショーの千と千尋の神隠しの解説・見どころにすべてが書かれていました。
現代の若者に当てはまる部分が
- カオナシは他人とコミュニケーションを取ることができない男
- 金で人を操ろうという支配欲と怒り狂うという幼児性を持っている
と書かれていて、最初に紹介したカオナシの特徴が当てはまります。
さらに、宮崎駿監督は
人を好きになったあまり、ストーカー行為に出ること、耐えられないさみしさ、キレるという言葉に代表される鬱屈した感情の発露、こういった性質はすべての人間が持つ本質である。カオナシは私達誰しもがもつ性質を結晶させた現代日本人そのものなのだ。
引用元:金曜ロードショー公式HP
というメッセージを伝えたかったと書かれています。
また、このインタビューではすべての人間が持つ本質と言っていますが別のインタビューではカオナシは「誰の心の中にもいる」とも宮崎監督は言っています。
ということは、誰の心にもある目先だけの「欲」をぜんぶ集めたのがカオナシということになりますね。
このことからカオナシは現代の若者だけがモデルになっているのではなく、現代の日本人の欲望を表したオリジナルキャラクターと言えるのではないでしょうか。
情報に流されっぱなしの現在、誰の中にもいるカオナシはどんどん肥大化しているのかもしれません。
カオナシについてのイメージがつかめてきましたが、もっとカオナシのことが知りたいという方におすすめなのが「カオナシの歌」です。
本編では流れていませんが、聞くと歌詞がめちゃくちゃ怖いです!
この歌を聞くと、自分本意な欲望が理性を超えてしまうとこうなってしまうのかというのがよく分かるので、カオナシの気持ちを知りたい方はぜひ聞いてみてください。
カオナシは化物でも神様でもない存在説

ここまで、カオナシの正体を掴むために悪魔説と現代人のモデル説を紹介してきて、カオナシの正体に近づいてきましたね。

でも、具体的にカオナシがなんなのか分からないな…
では、カオナシの具体的な正体に迫るため「カオナシは化物でも神様でもない存在説」について紹介していきます。
カオナシという名前の化物や神様はいないので、私たちが知っているような存在ではないとうのがこの説の内容になっています。
でも、具体的に何なのか知りたいですよね。
千と千尋の神隠しのパンフレットには、
湯屋のある世界とは別の場所からやってきた謎の男。己というものを持たない悲しい存在。
引用元:千と千尋の神隠し映画パンフレット
と紹介されています。
具体的にカオナシを表現するならカオナシは異世界の男ということになります。
男と言われると人間だと思ってしまいますが、カオナシは湯屋のある世界とは別の場所からやってきたということなので人間界でもな異世界の生き物と言っていいでしょう。
そんな異世界の生き物のカオナシは千尋のように湯屋の世界に迷い込みますが、千尋にはハクやリンのように助けてくれる人がいて、両親を助けるという目的がありました。
カオナシには千尋のように助けてくれる人もいないし、目的があるわけでもありません。
湯婆婆もそうですが、湯屋の従業員たちは砂金に群がりお金のことしか頭にないように感じるので、お金に関係ないカオナシを助けようという人は居なかったんでしょうね。
カオナシに無関心な湯屋の人たちも、先ほどの現代のすべての人を表しているようで、カオナシは作り上げられた社会の被害者でもあると言えるのではないでしょうか。
ということで、結局カオナシを具体的に説明すると
- 悪魔的な部分もある生き物
- すべての人間の自分本意な欲望が凝縮されたキャラクター
- 異世界の男
これがカオナシの正体になります。
千と千尋の神隠しの動画視聴情報


色んな噂を聞いていたら、もう一回「千と千尋の神隠し」を観たくなっちゃった!
すぐに映画が観られてとても便利な動画配信サービスを紹介したかったのですが、残念ながら千と千尋の神隠しの動画が観られる動画配信サービスは、現在ありません。
U-NEXTで配信されているとの情報もありましたが、2019年1月現在は配信されていないので注意してくださいね。
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まとめ
今回は、千と千尋の神隠しのキャラクターの中でも謎が多いカオナシの正体は何者か、色んな噂を調査して考察してきました。
カオナシは、コミュニケーションの仕方が分からず、物で人の心を操ろうとしますが、一番手に入れたい存在の千尋に拒絶され大暴れするキャラクターでしたね。
こんなわかまま放題のキャラクターのカオナシの正体は何なのかにも迫ってきました。
映画のパンフレットにも謎の男と表現されているので、私たちが知っている存在で表現するのは難しいですが
- 悪魔的な部分もある生き物
- すべての人間の自分本意な欲望が凝縮されたキャラクター
- 異世界の男
これがカオナシの正体となっています。
カオナシは千尋とは正反対の生き物で、カオナシのように生きてしまうと残念な結果しか残りません。
でも、カオナシというキャラクターがいることで、千尋のように自分のやれることをやって「今、ここ」をどうやって生きるのかというメッセージが伝わってきますよね。
「千と千尋の神隠し」を観る時は、ぜひカオナシと千尋の関わり合い方や行動に注目して観てみてくださいね。
結局カオナシってなんだったんだろう?